葬儀費用の「○○万円~」に注意
更新日:10月22日
広告料金と実際の総額の違い
「家族葬○○万円~」。テレビCMやインターネット、街中の看板などで、このような葬儀料金の表示を目にすることがあります。
葬儀は突然必要になることも多く、「できるだけ費用を抑えたい」と考えるのは当然です。そのため、広告に大きく表示された金額を見て、「このくらいの費用で葬儀ができるのだ」と思われる方も少なくありません。
しかし、葬儀では広告に表示された金額と、実際に支払う総額が異なることが非常に多いです。
「○○万円~」の「~」に注意
広告でよく目にする「30万円~」という表記は、あくまで一定の条件で利用した場合の最低価格を示したものです。
実際の葬儀では、安置する日数、搬送距離、式場、祭壇、料理、返礼品など、ご家族の状況や希望によって必要な費用が変わります。
大切なのは、広告の一番目立つ数字だけを見るのではなく、「自分の場合はいくらになるのか」を確認することです。
実際に行政が処分を下したケースも
葬儀費用の不当表示は単なる噂ではありません。2026年9月18日、消費者庁は全国展開し広島市内にも多数のホールを構える大手葬儀社に対し、景品表示法違反に基づく措置命令を出しました。
テレビCMで「家族葬10.45万円~」と謳いながら、実際にはわずかな例外を除いて30万8,000円以上の費用が必要だったためです。
同庁はこれを「著しく有利と誤認させる表示」と判断しました。これは特定の1社の問題というよりも、「初期費用を極端に安く見せる」という業界の構造的な歪みが行政処分という形で表面化した客観的な事実です。
広告の表面的な数字と、実際に必要となる最低額には大きな乖離がある点に強く注意する必要があります。
国民生活センターにも料金トラブルの相談が
2026年6月、国民生活センターは葬儀サービスの料金トラブルに注意喚起を行いました。2025年度の相談917件のうち、「高価格・料金」に関する相談が52.6%を占めました。実際に「約30万円のチラシを見て依頼したら約80万円になった」、「50万円の表示が200万円を超えた」といった事例が報告されています。
もちろん、参列者が予期せず増えたり、家族が希望したオプションで費用が上がるのは当然であり、全ての業者が悪質なわけではありません。
一番の問題は、最初に見た広告の金額だけでは、実際に必要となる総費用が全く分からない点にあるのです。
なぜ、広告価格と総額に差が生まれるのか?
葬儀社の広告料金と実際の費用に差が生じる背景には、複数の要因があります。葬儀には基本プランに加え、安置日数や搬送距離、式場、料理、返礼品など、状況に応じて追加される費用が存在します。
さらに、ネット広告や仲介業者を利用する葬儀社の場合、多額の広告費や紹介手数料も発生しています。
こうした「葬儀そのものの費用」と「集客のためのコスト」が、最終的な価格にどう影響しているのか。一般の消費者には非常に不透明な部分です。
この見えにくい「お金の流れ」の仕組みについては、次回の記事で詳しく解説します。
葬儀社を選ぶときに見るべきなのは「広告価格」ではなく「総額」
葬儀社へ相談する際は、次の2点を必ず確認してください。
「自分たちの希望を踏まえると、最終的な総額はいくらになるか」
「説明されたプランに含まれていない費用は何か」
広告の表示価格だけで判断せず、自分たちの場合の総額をあらかじめ確認することがトラブル防止の基本です。国民生活センターも、事前に希望を整理し、見積書の明細を精査することを推奨しています。
「〇〇万円〜」という数字を見ただけで満足せず、「実際の総額」まで確認する。これだけでも、葬儀社選びの失敗の多くを簡単に防ぐことができます。


